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最後まで読んで下さった、奇特で心優しい皆さま…お疲れ様でした~m(__)m

勝手に創作『ヘカテの蝶』…すべてフィクションですぅ~
フィクションですが、お二人のキャラクターのイメージを損なわないように…
設定&小道具類になるべく嘘が無いように~…
いっしょうけんめい調べました~(_´Д`)ノ~~
(それでもツッコミドコロ満載っっ)

お気を悪くされた関係者及びファンの方々…
なにとぞお許しを~(_´Д`)ノ~~
(↑超・小心者)

ご意見・ご感想などありましたらお気軽にドゾッ(o´・ω-)b♪
(あんまり厳しかったら、泣いて逃亡します……(;¬_¬))
(ただの自己満足の世界なんですぅ~)


…て、エロが全然無かったわぁ~……( ̄∀ ̄*)ゞ


追伸:いつも(勝手にイメージした)音楽を聴きながら、
作業をしているのですが、

Kiss Kiss Kiss / BENI
ずっと二人で / BENI

今回はこの二曲をヘビー・ローテーションでした♪(・∀・)d
(YouTubeで検索・視聴できます♪)

全然、音楽と作品のイメージ違うやんっっ…て言わないで~(-∀-ノ)ノ イヤ~ン♪
【Kiss Kiss Kiss】は二人がキスするトコロで流れたらな~…なんて。
破滅へ近づいているけれど、気分は前向き…っていうの
けっこう好きなもんですから。
その状況と気持ちのミスマッチと言うか、ギャップを、
音楽で表現できたらな~…と。
すみません…妄想です…( ̄∀ ̄*)

追伸2:太郎さん、シシーさん、お返事ちょっと待ってくらさいネッ(oゝД・)b♪
(あけおめですぅ~m(^o^)m)


お互いの手のひら…カプセルを見つめるゆいとりな。
「待ってくれ!」
遠くから近付いてくる、能登と白川の姿が見える。
「松野ゆい君、いや毒島ゆい君!」
「…!」
ビクッとするゆい。
冷静なりな。
「君たちはここの地方の生まれだね?」
「…」
「昔ここで一人の少年が死んだ。
その少年は何故、死ななければいけなかったんだろうか?
大学のサークルの男子学生は?ゆい君の店の客だった関口亨は?
全て君たちの周りで起きている。偶然すぎやしないか!?」
「…」
能登と白川をじっと凝視するゆい。

「ねえ、ゆいちゃん…刑事さん全部判ってるみたい」
「…」
りなの言葉に、張りつめていたゆいの表情が崩れる。
「私の為にあんな事…」
「君の為じゃない。彼女が自分で犯した罪だ」
「だったらどうなの?悪いのはアイツらじゃない。
やられっぱなしでいろって言うの!?」
「りな…」
「私はゆいちゃんとは違うの。泣き寝入りなんて絶対にしない」
「だが、人を殺した罪は罪なんだ」
「法で裁けない罪は誰が裁くの?」
「それは…」
答えられない能登。
「私の事は私で…」
あっと言う間もなく、カプセルを飲み込むりな。
「りな…!!」
崩れ落ちるりな。
りなに駆け寄るゆい。

りなはゆいに抱き起こされる。
「ゆいちゃん……何だったんだろうね、この十年・・・。
けど、ゆいちゃんと一緒にいる時が一番楽しかったなぁ…」
「…りな…」
「ゆいちゃん…22だね」
「え?」
「誕生日、おめでとう・・」
ニッコリ微笑むりな。
「こんな時に…馬鹿じゃないの!?」
泣き笑いのゆい。
「…」
ふと、気がつくと事切れているりな。

「…りな?りな…!!一人じゃどこへも行けないよ…」
りなを抱き締め、泣き崩れるゆい。
「…」
どうすればりなとゆいの心の闇を救う事が出来たのか。
慙愧(ざんき)の念で立ち尽くす能登。

薄紫のトリカブトの花に二羽の蝶が舞い、戯れる・・・。


END.

霧の深い山道を迷わず歩いてゆく、りなとゆい。
「りな…どこへ行くの?」
「…」
無言でゆいの手を引っ張っぱるりな。

山の頂上。そこは霧の深い高原が広がる。
強い風で、一瞬霧が止む。
辺り一面の薄紫の花の群生。
地元の者も寄り付かない、トリカブトの高原。

「ねぇ、ゆいちゃん覚えてる?」
「え」
「ここであの子、死んじゃったの」
「…」
「ゆいちゃんの事、ブスブスって苛めるから。この花美味しいんだよ。
信じないの?って言ったら、自分から食べて…馬鹿な子」
「りなのせいじゃないよ…可哀相な事をした・・」
後悔の念に駆られるゆいにりなは言う。
「どうして?全然可哀相なんかじゃないよ」
「りな…刑事さんが何かつかんでる。もうやめよう」
「遅いよ。もう。今さら一人殺しても二人殺しても一緒じゃない?」

偶然がきっかけで、ゆいとりなはトリカブトの毒性を知る。
少年を死なせてしまった秘密をずっと心に抱えて二人で生きてきた。
秘密のままで終わるはずが、ゆいの災難…大学での集団レイプ事件、
ゆいが取った客…関口亨のSM趣味からエスカレートした暴力行為に
我慢ならず、ゆいだけを救う、という正義感を実行してしまうりな。

「私たち、いつになったら幸せになれるんだろうね…」
「…りな」
「でもそれももう終わり」
ピルケースを取り出すりな。
「ゆいちゃん、死のう?」
「…」
いつも笑顔しか見せない、りなの瞳は潤んでいた。
「…!」
思わずりなを抱きしめるゆい。
「ゆいちゃん…」
一滴(しずく)、りなの頬を伝う涙。

りなとゆいはお互いを依存しあっていた。
だが、全てはゆいの為だと判っていた。
ただ守りたかっただけなのに・・。

「りなの為だったら私、死ねるよ?」
「じゃあ証明して…」
ゆいにカプセルを渡すりな。
自分用にりなはもう一つカプセルを取り出す。
ゆいとりな…二人はニッコリと微笑みあい…
目を閉じて…最後のキス。

群馬の田舎村では東高円寺署から連絡を受けていた年配の駐在に
能登と白川は出迎えられる。

「一通りお話は聞いています。あの二人の事は小さい頃から知っています。
毒島…この村では珍しい苗字だったので。本人は可愛い娘だったのですが…
名前でよく男の子たちに苛められていました。
それを年下のりなちゃんがいつも庇っていました。
小さいのに気が強い女の子で、いじめっ子達によく食ってかかっていました。
本当に仲の良い姉妹みたいでしたね…」

「この辺りでトリカブトは手に入りますか?」
「一応、野生では生えていますが」
「最近トリカブトを扱った事件がありませんでしたか?」
「さあ、特には。村の者は皆知っていますから。注意して、決して誰も触ったりしません」
「彼女達の周囲で複数の人間が死んでいるんです!どんな小さな事でもいいので
思い出して下さい!」
駐在に粘り強く問いかける能登。
勢いに押され、駐在は過去のある事件を思い出す・・。

   × × × 

ゆいとりなが小学生だった頃、男の子が一人、
原因不明の突然死で亡くなる…と言う出来事があった。
どうやら心筋梗塞らしい。
だが子供が心筋梗塞になるのも珍しいので、検死に廻した所、
アコニチン反応が体内から検出される。
「注意してたんですが…そこいらに生えているトリカブトの花を
うっかり食べたらしいのです。あれは花や茎にも毒性がありますから」
少年の死は事故として片付けられる。

その少年はゆいとりなの幼なじみだった。

   × × ×

能登にはもう判っていた。
ゆいに関わった者の死は、すべて故意のものであると。

少年はゆいの苗字をからかい苛めていたのだろう。
サークルの男子学生はゆいやりなの集団レイプを率先したのか。
関口亨も恐らくはゆいに何かしらの危害を与えていたに違いない。
自分に近づき、害を及ぼす者は全て滅ぶ・・・。
ヘカテの蝶…トリカブトを司る女神はゆいなのか、りななのか。
ゆいとりな、二人を何としても見つけ出さなければ。
焦る能登。

そこへ二人らしき女性を、上の高原で見かけたとの情報が入る。
駐在の案内で、現場へ急行する能登と白川。

そのサークルは表向き、≪法律・人間心理研究会≫となっていた。
だが内情は女子学生を酔わせ、前後不覚にさせて集団レイプを行なう事が
体育会系の儀式の様に流行っていた。
全員が酔った上なので、あくまでも合意の上と言い張り、犯罪も成立しにくく、
関わった学生は警察トップや司法関係者の子供たち…という事もあり、
学校への莫大な寄付や名誉から、巧妙に表沙汰にはならなかった。
被害にあった女子学生は泣き寝入りするしかないのが実情であった。

一方、ゆいの大学の友人が口にしていた、
≪ヘカテの蝶≫と言う言葉。気になった能登の部下の白川は
ネットで調べてみる。
ヘカテ…古代エジプトでは出産を司(つかさど)る地母神。
ギリシャ神話では月を司る冥府神。
中世ヨーロッパでは魔術の女神~トリカブトを司る女神となっていた。
ここでもトリカブト。
やはり全ては繋がっているのか。

   × × ×

ゆいのアパートへ向かう能登と白川。
監視に立てておいた刑事の目をかいくぐり、
ゆいとりなはすでに逃亡した後だった。

二人の行き先…二人が育った故郷、群馬のあの田舎村しかない。
能登は白川を連れ、群馬県へと向かう。

刑事部屋。
関口亨中毒死事件の第一容疑者、松野ゆいの生い立ちが語られる。
松野ゆい(21)、旧姓・毒島(ぶすじま)ゆい。本籍・群馬県桐生市。
毒の島と書いて毒島(ぶすじま)。
ゆいの出身地・群馬県桐生市には比較的多い苗字だが、
多感な時期の女性には内心何とも複雑な名前であった。
ゆいが5才の時に故郷の街を離れ、群馬の田舎の村へ引っ越す。
そこで3才のりなと知り合い、二人は幼なじみとなった。
大学進学と同時に村を出て行ったゆい。
後を追うように、りなも同じ大学を受験し、その田舎の村を出て行く。

この地方には、ある植物が自生していた。
薄紫色の烏帽子(えぼし)に似た花をつけるキンポウゲ科の高山植物。
≪トリカブト≫。
花は美しく、観賞用としても栽培されているが、その根には強力な毒性がある。
耳かき一杯分でも致死量に至り、心臓麻痺を起こして生物は死んでしまう。
毒成分はアルカロイド系アコニチン。
アコニチン…関口亨、サークルの男子学生…etc.
全てはアコニチン中毒で死亡したのではなかったか…!?

一方、サークルの男子学生の関係を洗い直した所、
りなの取り巻きの一人だった事が判明する。
そのサークル内で何かトラブルがあった様だが、関係者の口は重く、
中々事情を聞き出せなかった。
渋々学生の一人から、あくまでも噂話…と言う形で聞き出した内容とは…。

再びゆいの大学へ。
能登は学生たちからゆいの身辺を洗う。
ゆいの一番身近な存在の人間は?
尋ねると、学生たちは皆口々に、姫川りなの名前をあげる。
ゆいは凛々しくてサッパリとした姉御肌。
りなは天然の甘え上手。二人とも男女問わず人気の、
大学では有名なコンビだった。
いつも二人で一緒に行動しているようであった。
ゆいと仲の良い女子学生から、皆で温泉へ行った時に、
ゆいの背中と左胸に、無数の擦り瑕(きず)を見たと言う情報を得る。
それ以降、ゆいの左胸には台形を縦にした模様の青い刺青が。
「そう言えばりなの右肩にも、同じ刺青があった」
「全く同じ?」
「ちょうどゆいの形を左右逆にした感じ。こう、ちぎれた蝶の羽みたいな」
「…」
二つの左右対称の青い刺青。
「ヘカテの蝶って言ってた」
「ヘカテ?」
「意味判んないけど。一年前の話」

一年前…この大学で起こった男子学生死亡事件。
先日の関口亨の死亡事件。
ゆいとりな、この二人に何か関わりがあるのか…?
りなの写真を手に入れると、能登と白川はビジネスホテルへ向かう。
再びこの間の年配の清掃の女性をつかまえ、りなの写真を見せる。
「ああ、この肩の刺青…確かにこの女の子です」
205号室から出ていったのは、りなに間違いない…清掃の女性はハッキリと証言する。

姫川りなが第二容疑者となった瞬間だった。

   × × ×

能登と白川はゆいとりなの住むアパートへ向かう。
「…また刑事さんか。もう話す事無いけど」
部屋から出て来たゆいはうんざり顔で能登と白川を見る。
「今日は君じゃない。一緒に住んでるりなって娘に用がある」
「…!」
一瞬、ゆいの蟀谷(こめかみ)がビクッと震える。
能登はゆいの反応を見逃さない。
「りなはいないよ。出かけてる」
「・・そうか。また来るよ」
出直す能登と白川。

もうおしまいだ・・。
全てが暴かれてしまう…。

ゆいはりなと逃げる決心をする。