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お互いの手のひら…カプセルを見つめるゆいとりな。
「待ってくれ!」
遠くから近付いてくる、能登と白川の姿が見える。
「松野ゆい君、いや毒島ゆい君!」
「…!」
ビクッとするゆい。
冷静なりな。
「君たちはここの地方の生まれだね?」
「…」
「昔ここで一人の少年が死んだ。
その少年は何故、死ななければいけなかったんだろうか?
大学のサークルの男子学生は?ゆい君の店の客だった関口亨は?
全て君たちの周りで起きている。偶然すぎやしないか!?」
「…」
能登と白川をじっと凝視するゆい。

「ねえ、ゆいちゃん…刑事さん全部判ってるみたい」
「…」
りなの言葉に、張りつめていたゆいの表情が崩れる。
「私の為にあんな事…」
「君の為じゃない。彼女が自分で犯した罪だ」
「だったらどうなの?悪いのはアイツらじゃない。
やられっぱなしでいろって言うの!?」
「りな…」
「私はゆいちゃんとは違うの。泣き寝入りなんて絶対にしない」
「だが、人を殺した罪は罪なんだ」
「法で裁けない罪は誰が裁くの?」
「それは…」
答えられない能登。
「私の事は私で…」
あっと言う間もなく、カプセルを飲み込むりな。
「りな…!!」
崩れ落ちるりな。
りなに駆け寄るゆい。

りなはゆいに抱き起こされる。
「ゆいちゃん……何だったんだろうね、この十年・・・。
けど、ゆいちゃんと一緒にいる時が一番楽しかったなぁ…」
「…りな…」
「ゆいちゃん…22だね」
「え?」
「誕生日、おめでとう・・」
ニッコリ微笑むりな。
「こんな時に…馬鹿じゃないの!?」
泣き笑いのゆい。
「…」
ふと、気がつくと事切れているりな。

「…りな?りな…!!一人じゃどこへも行けないよ…」
りなを抱き締め、泣き崩れるゆい。
「…」
どうすればりなとゆいの心の闇を救う事が出来たのか。
慙愧(ざんき)の念で立ち尽くす能登。

薄紫のトリカブトの花に二羽の蝶が舞い、戯れる・・・。


END.

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