2ntブログ
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誕生日が三日違い…と私と近かったので、プレゼント交換などもしていました。
「はい」
私に大きな包みを渡してくれます。
「何、これ?」
「当ててみて」
包みを開けながら~
「まさか、コブタのぬいぐるみ~とちゃうやんな~…」
「え…どうしてわかったの!?」
「…」
本気で驚いてはります。
冗談で言ってみたのにィ~…。
「お店でね、あなたにそっくりなものみつけたの♪」
「あり…ありがたふ…」
ピンクの抱き枕のカワユイこぶたちゃん(ハァト)
おじゃる丸…ひこにゃん…座敷童子(ざしきわらし)…etc.
また、まァるいモノに例えられたゼ~…(ェ)y-~

ある時、彼女の家でダンスの話題をしていました。
(彼女はクラシックバレエの経験者だったので)
すると彼女は、突然、ヘラヘラと踊りだしました。
「…何やってんの」
「踊ってるの♪」
「踊ってるて…それ何ダンス~!?こんな姿、クラスの男子が観たら、
絶対驚くで~!!」
「そう?ケイは空気みたいなものだからいいの」
「…そ~れすか」
楽しそうにヘンなダンスを踊る、ヘンなナカタニちゃん。

空気みたいなものって、いてもいなくても同じってことかな~。
それとも気を遣わなくてもいいって意味なん?
他の友人に話すと、
「マジで~!?あのナカタニちゃんが…信じられへん…」
~めちゃ驚いてはりました。
やっぱりなぁ~…。

けれど、鋭い友人は言います。
「ミキっていつまでたっても、よそ者、転校生ってイメージやな~。
ケイにまで気を遣うことないのにな~」
…確かに、他の人よりは気を許してくれていたようですが、
【他人を踏み込ませたくない、どうしても許せない一線】
~というものが人より多く、彼女の中に存在したようです…。

(14)へとつづく。

放課後と言えば、彼女がまだ転校したての頃、
私はクラブ(吹奏楽…アルトサックスやってました…一応)へ行こうと、
教室を後にしようとした時、なにげなく振り返ると~
教室の隅の椅子にポツン…と座っているあの娘の姿が。
「帰らへんの?」
「うん」
「何してんの?」
「別に。ボーッとしたいから」
「ふ~ん…」
…ヘンなヤツ。
2・3時間後、忘れ物をした私は、再び教室へと戻りました。
「ちょっと、まだいたん!?」
「うん」
「あれからずっと?」
「うん」
~信じられへん。
絶対ヘンやわ、この娘!

すみません。思いつくままに取り留めもなく書いているので、
お話の中の時間が前後しています。

「秋桜(コスモス)って、ナカタニちゃんって感じ」
「何、それ?」
「何か、そ~ゆ~イメージがあるもん」
「そう?」
「うん、そう」
「そうなんだ…」
(↑めちゃクール。)

櫻(さくら)を見ても彼女の事を想い出します。
公園のブランコに櫻の枝がしなだれかかり、
春になるとそれが一斉に満開になって、
花びらが雪のように降り注いできます。
花吹雪のなかで、ブランコに揺られている彼女の姿は
とても絵になりました。
スケッチしたいな…と思いました。

(13)へとつづく。

ある日、ナカタニ姉妹と私、ぶち(ダルメシアン・メス)の三人と一匹で
近くの河川敷へ散歩に出かけました。

彼女は一人、川辺で石投げをしています。
ぶち(ダルメシアン・メス)は彼女の周りをはしゃいでじゃれつきます。
少し離れて彼女のお姉さんと私の二人はその風景を眺めていました。
(お姉さんと私は同い年デス)
「えと…あの娘っていっつもあんな感じ?」
一度お姉さんに彼女の事を聞いてみたかったのです。
「うん。昔からちょっと変わってる」
「へえ…そうなんか~…」
「正直言って、あの娘が何を考えてるのかよく判らない」
「…」
まるっきり対照的な性格の姉妹やからかなぁ~…。
けれど姉妹仲は悪くは無いんです。
ごく普通の姉妹。

こうして私の高校2年の生活は彼女ではじまり、彼女で終わってしまいました。
高3になって彼女とクラスが離れてしまった時には、どんなにがっかりしたことか…。
それでも放課後に、彼女のクラブ(茶道部)が終わるのを待っていたり、
お互いの家を行き来したり…とつきあいは以前とそれほど変わりませんでした。

靴箱の近くで~2時間も3時間もボーッと一人で待っていたので、
帰宅しようとしていた友人たちに、めっちゃ声をかけられてしまいました。
「ケイ!何やってんの、こんなトコで」
「うん、ナカタニちゃん待ってんの」
「あ、そう。頑張りな~。ほなバイバイ」
「ありがと~。バイバイ」

すっかり日は落ち~辺りが薄暗くなっても、あの娘は姿を見せなくて。
おかしいなぁ~、みんな帰っちゃったし…行き違いになったんやろ~か?
でも外靴があるし…まだ学校にいるんやわ…。もうちょっと待ってみよ。
~その30分後、やっと現れました。
私の姿を見つけて、驚く彼女。
「…ひょっとして、ずっと待っててくれたの?」
「うん」
「…」
「帰ろ」
「…うん」
ほんの少しの間、短い帰り道だったけれど、少しでも一緒にいたかったんです。

(12)へとつづく。

写真を撮るのが好きだった私は、文化祭の時に父親の古い一眼レフの
マニュアルカメラ(フィルムを使用するカメラ)を引っ張り出し、
友達を被写体にして、バチバチ撮っていました。(←超ドヘタの横好き。)
そして当然の様に、彼女~ナカタニちゃんも。
「あ、そのまま後ろ向いてて、うん、そうそう!」
「…」
「次はブランコに乗ってるトコがいい。~う~タイミングが難しい~…!」
「…」
彼女は撮られることに何の興味も無いので、カメラを意識しません。
けれど、笑顔をみせてくれないので、
「な~、ほら、笑って!」
「…」
「ほな、歯ァ見せて、イ~ってしてみて?」
「イ~」
…面白いけど、なんか違う。
「あ~、ナカタニちゃん、あれ何や!?」
「え?」
油断した時がシャッターチャンス!!
「も~近所のオバさんじゃない!」
「アホやな~笑顔いただきやっ!」
「…も~…」
無理やり彼女を笑わせていました。

たまに人物デッサンとかもしていたので、
(二人とも美術を選択授業にしていました)
スケッチブックを片手にデッサンのモデルなんかもしてもらっていました。
(残念ながらヌードじゃないれす…)
けれど、いつも写真から模写ばかりだった私は、
動く人物を相手に描くのが超苦手で、
「耳のドアップ~!」
「目だけ!!」
「次は足や~!」
などと、彼女の人体の一部分を描きだしては、彼女に見せ、
きゃらきゃら…とふざけあっては、デッサンの批評をしたりしていました。

~何がきっかけだったか、
いつのまにかプロレスごっこのようになっていました。
「ウエスタンラリアート!!」
「四の字固め~!」
「エルボー!」
笑いながら、組ず解れつ!

…いつの間にか、疲れて放心状態となり、
気がつくと、私は彼女の膝枕になっていました。
「…あ~あ、帰りたくないなぁ~…」
思わず私は呟いていました。
「…うちはこのまま泊まっていっても、ちっともかまわないのよ」
「……」
見上げると彼女の目と合います。
返事を待っている彼女の瞳はとっても綺麗です。
すいこまれそうな明るいブラウンの瞳。
ずっと見ていられたら~どんなにいいかな~…ああ、でも。
「…そうしたいけど、ウチの親が許してくれないから…ごめん…帰る」
「うん、わかった」

この時、時間が止まってくれたらいいのに…と神様に願いました。
彼女の膝枕が気持ち良くて、離れたくなかったんです。
ず~っと一緒にいたかったんです。

(11)へとつづく。

「どうしてこんなに良くしてくれるの?」
街中のカフェでパフェを口にしながら、彼女が尋ねます。
「え?だって好きやから」
「……」
なんだかナカタニちゃんは恥ずかしそうにうつむいています。
「?」
一瞬、何でそんな態度を取るのか、私にはさっぱり判りませんでした。
(;¬_¬)ン?…待てよ…。

Σ(゚▽゚)アッ!!判ったぁぁ~~!!
「ちょっと、何で下向いてんの!」
「え、だって…」
「私の話、続きがあるねんで!人の世話を焼くのが好きやの!!」
「…ああ、びっくりした」
「びっくりしたんはこっちやわ~!」
…私の会話には主語がなかった…。

その日はちょうどバレンタインデーで、店頭には色とりどりの
綺麗なチョコレートがたくさん並んでいました。
「美味しそ~…貰える男子(ヤツ)はエエよなぁ~…」
色気よりも食い気だった私は、物欲しそうにショーウィンドーを眺めていました。
「な~ナカタニちゃん、って…あれ?」
ふと、気がつくと彼女の姿がありません。
どこに行ったんやろ?
キョロキョロ見渡すと、見つかりました。
レジの所に並んでいます。
「?」
ふと彼女の手には、さっき私が欲しがっていたチョコの一つが…。
あ、ひょっとして、私にくれるつもりなんかなぁ~。
(↑普通、そうは考えない。)
よし、ほな私も負けずにこっちの大きいチョコを買っちゃおう!

「はい」
帰り際、彼女は私に包みを渡してくれました。
「何、これ~?」
知らないふりをして聞いてみます。
「開けてみて」
…やっぱりあの時のチョコレートです。
「サンキュー!じゃあ私も、ハイ!」
同じお店の包み紙を渡します。
「…あ~!」
出しぬかれた顔をする彼女。
「こんな大きなチョコ、悪くてもらえない」
「いいやん、別に。もらっておけば。ナカタニちゃんもくれたもん」
「……あ、うん・・」
なかば強引に手渡したのでした。

現在(いま)からかんがえると、自分の気持ちばかり押しつけて、
彼女に悪いことをしたのかもしれません。
おそらく、色々連れて行ってくれたお礼に…と、
せっかく私に、あの娘が買ってくれたチョコだったのに。
それより大きいチョコをあげたりなんかして…。
ああ、ごめんね、ナカタニちゃん。

(10)へとつづく。