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刑事部屋。
関口亨中毒死事件の第一容疑者、松野ゆいの生い立ちが語られる。
松野ゆい(21)、旧姓・毒島(ぶすじま)ゆい。本籍・群馬県桐生市。
毒の島と書いて毒島(ぶすじま)。
ゆいの出身地・群馬県桐生市には比較的多い苗字だが、
多感な時期の女性には内心何とも複雑な名前であった。
ゆいが5才の時に故郷の街を離れ、群馬の田舎の村へ引っ越す。
そこで3才のりなと知り合い、二人は幼なじみとなった。
大学進学と同時に村を出て行ったゆい。
後を追うように、りなも同じ大学を受験し、その田舎の村を出て行く。

この地方には、ある植物が自生していた。
薄紫色の烏帽子(えぼし)に似た花をつけるキンポウゲ科の高山植物。
≪トリカブト≫。
花は美しく、観賞用としても栽培されているが、その根には強力な毒性がある。
耳かき一杯分でも致死量に至り、心臓麻痺を起こして生物は死んでしまう。
毒成分はアルカロイド系アコニチン。
アコニチン…関口亨、サークルの男子学生…etc.
全てはアコニチン中毒で死亡したのではなかったか…!?

一方、サークルの男子学生の関係を洗い直した所、
りなの取り巻きの一人だった事が判明する。
そのサークル内で何かトラブルがあった様だが、関係者の口は重く、
中々事情を聞き出せなかった。
渋々学生の一人から、あくまでも噂話…と言う形で聞き出した内容とは…。

再びゆいの大学へ。
能登は学生たちからゆいの身辺を洗う。
ゆいの一番身近な存在の人間は?
尋ねると、学生たちは皆口々に、姫川りなの名前をあげる。
ゆいは凛々しくてサッパリとした姉御肌。
りなは天然の甘え上手。二人とも男女問わず人気の、
大学では有名なコンビだった。
いつも二人で一緒に行動しているようであった。
ゆいと仲の良い女子学生から、皆で温泉へ行った時に、
ゆいの背中と左胸に、無数の擦り瑕(きず)を見たと言う情報を得る。
それ以降、ゆいの左胸には台形を縦にした模様の青い刺青が。
「そう言えばりなの右肩にも、同じ刺青があった」
「全く同じ?」
「ちょうどゆいの形を左右逆にした感じ。こう、ちぎれた蝶の羽みたいな」
「…」
二つの左右対称の青い刺青。
「ヘカテの蝶って言ってた」
「ヘカテ?」
「意味判んないけど。一年前の話」

一年前…この大学で起こった男子学生死亡事件。
先日の関口亨の死亡事件。
ゆいとりな、この二人に何か関わりがあるのか…?
りなの写真を手に入れると、能登と白川はビジネスホテルへ向かう。
再びこの間の年配の清掃の女性をつかまえ、りなの写真を見せる。
「ああ、この肩の刺青…確かにこの女の子です」
205号室から出ていったのは、りなに間違いない…清掃の女性はハッキリと証言する。

姫川りなが第二容疑者となった瞬間だった。

   × × ×

能登と白川はゆいとりなの住むアパートへ向かう。
「…また刑事さんか。もう話す事無いけど」
部屋から出て来たゆいはうんざり顔で能登と白川を見る。
「今日は君じゃない。一緒に住んでるりなって娘に用がある」
「…!」
一瞬、ゆいの蟀谷(こめかみ)がビクッと震える。
能登はゆいの反応を見逃さない。
「りなはいないよ。出かけてる」
「・・そうか。また来るよ」
出直す能登と白川。

もうおしまいだ・・。
全てが暴かれてしまう…。

ゆいはりなと逃げる決心をする。

刑事部屋でディスカッション。
関口に関わる人間の中で、ゆいは依然として重要参考人のままであった。
事件当日9月3日、ゆいが現場の203号室にいた証拠が必要になるとの
結論が出る。
刑事は現場百遍。足げく通うと何か証拠が見つかるかもしれない。
ビジネスホテルへ向かう態勢の能登と白川へ、他の刑事が声をかける。
「頼まれていたアコニチン関連の未解決事件の資料、ここに置いておきます」
能登が軽く目を通すと、ここ1~2年で何件かの未解決事件が。
「皆、この近辺ですよね・・」
白川が気づく。
一年前の夏。男子大学生のサークル内での死亡事件。
「…」
ゆいと同じ大学の学生である事に能登は引っかかりを覚える。

   × × ×

関口が死亡した日から幾日も経っていた。
事件のあったビジネスホテルの現場はすっかり元の日常に戻っていた。
しかし、誰も気味悪がって使いたがらず、203号室は空室のままだった。
現場を何度も隈なく調べる能登と白川。
いい加減諦め気味の白川に、辛抱強く粘る能登。
だが、何も出て来ない。

年配の清掃の女性を呼び止め、ゆいの写真を見せる。
清掃の女性はいつも違う男を連れ、このホテルに泊まるゆいを覚えていた。
9月3日、事件のあった当日、203号室近くの205号室にゆいが泊まっていた事が判る。
「他におかしな事はありませんでしたか?」
「そう言えば…その写真の人とは違う女の子が部屋から出て来ました」
ゆいの泊まる205号室から一人の若い女が出て行ったのを見たと言う。
ゆいでは無い、新たな女の存在。。。

   × × ×

後編へとつづく…。
(こちらは完結しています…)
続き、少々お待ちを~\(_)
(て、需要があるのか…!?)

ちょっと授業へ行って参ります~m(__)m

某私立大学。
「また?」
ゆいの通う大学にまで押し掛ける能登刑事。
クラブで会った時とは、また雰囲気の違うゆいに少し戸惑う能登。
「9月3日、君はビジネスホテルにいたね?フロントで確認済みだ」
「そうだっけ?行ったかも。ホテルはしょっちゅう使うから」
あっさり認めるゆい。
「君みたいな娘がなんであんな所で働いてるんだ?」
「悪い?ただのバイトじゃん」
「…」
高校生の、同じような年頃の娘を持つ能登には理解しがたかった。
「疑ってる?仮に私だとして何のために?」
「また来るよ」
質問には答えず立ち去る能登。
「もう来なくていいから…」
つぶやくゆい。

「ゆいちゃん、さっきの人誰?」
ゼミが終わったりながゆいに声をかける。
「クラブでナンパしてきたオジサン。アイツしつこくて。
こんなトコまで来たから、追い返した」
「ふ~ん・・」
小さくなる能登の後ろ姿をりなはじっと見つめる。
「それよりりな、あのクセやめた方がいいよ…私は好きじゃない」
「どうして?一回も二回も一緒じゃない?」
「…」
無邪気に微笑むりなを黙って見つめるゆい。

クラブ・JeWeL(ジュエル)。
能登は部下の白川とペアで潜入する。
40代の能登は浮いている。
ひと際目立つ二人の女。
りなを連れているゆいの姿。
能登は、ゆいの写真と見比べ、確認する。
「あれが松野ゆいか…」
ゆいと接触を試みる能登と白川。
「この男を知ってるよね?」
警察手帳と関口亨の写真を同時にゆいに見せる能登。
「…」
何、このオヤジ…。ゆいは嫌悪感を露わにしつつも、
関口の写真を見る。
「…関口さんでしょ?たまに遊ぶけど」
「9月3日、君はどこにいた?」
「覚えてない」
「思い出してくれないかな」
「なんで?彼が死んだから?」
「…!」
関口が亡くなった事実を知るゆいに、能登は一瞬反応する。
「ニュースで観たの」
事も無げに口にするゆい。
「…」
これ以上ゆいから反応を引き出せないため、出直す能登と白川。
能登はビジネスホテルへ裏を取りに向かう。

   × × ×

ビジネスホテル。フロントでゆいの写真を見せる能登。
「9月3日に、この女性が来ていませんでしたか?」
「わかりませんね。似たようなお客様は沢山いらっしゃいますので」
能登は、ホテルの防犯カメラをチェックする。
関口は判明したものの、一緒にいる女の顔が目深な帽子でハッキリと見えない。
当日の清掃担当者の一人に確認するが、やはり判らない。
能登は出直す。