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(11)病院・222号室(昼食)
   食事中のなおとさき。
   それぞれベットの横に簡易テーブルを
   設置し、向かい合わせで食べている。
   おせじにもおいしそうとは言えない盛
   り付けと食器。
   もくもくと食べていると、
なお「まず」
さき「そう?これでも昔に比べたらだいぶマ
 シなんだよ」
なお「・・・(黙々と食べている)」
さき「なおちゃんは」
なお「・・・」
さき「あ、なおちゃんて呼ばれるのイヤだっ
 た?」
なお「・・・別にいいよ、それで」
さき「じゃ、そう呼ぶね?なおちゃん、病院
 初めて?」
なお「…自分が入るのは」
さき「お友達のお見舞いとか」
なお「ない」
さき「一度くらいありそうなのに」
なお「あんまりそういう友達いない」
さき「私も友達はいないなあ」
なお「…入院するような友達って意味だけど」
さき「あ、そっか。ね、あのハンガーにかか
 ってる制服・・・なおちゃんって、成城学
 園?」
なお「そう」
さき「すごい!頭いいんだ!」
なお「・・・さき、は」
さき「うん、さきでいいよ、なに?」
なお「どこ行ってるの?」
さき「ああ・・・えっと東聖高校」
なお「・・・ごめん、知らない」
さき「そりゃそうだよ、3流高だし。わたし
 バカだから」
なお「(ハンガーにつるしてあるさきの制服
 を見ながら)かわいい制服じゃん」
さき「へへ、それで選んだ、なんてね」
なお「(ボソッと)いいよね、気楽そうで」
さき「・・・やっぱり厳しいの?」
なお「あんまり行きたくない」
さき「やっぱり大学とかも行くんだよね?な
 おちゃん、大学ってど・・・」
なお「(話をさえぎるように)あのさ」
さき「?なに?」
なお「ちょっと黙っててくれる?」
さき「あ…」
 しゃべっていて全然食事が進んでいない。

(12)病院・中庭
   病院の中にしてはかなり整備された綺
   麗な庭。
   屋根付きの休憩する椅子やテーブルも
   ある。
   近くには最近廃校になった学校が見え
   る。
   その中の小道を歩くパジャマにカーデ
   ィガンをはおったなおとさき。
   さき、楽しそう。
さき「いい天気ー」
なお「なんでわたしまで・・・」
さき「ずっと部屋にこもってると老けるよ」
   はいはい、とついていくなお。
さき「この病院、お金あるよねえ、こんな庭
 作るなんて」
なお「ウチラみたいなのが大金落としてって
 るからじゃないの?」
さき「そうかも」
なお「あーあ、無駄にいい天気だよ」
   言いながら空を仰ぎ見るなお。
   つられてさきも空を仰ぎ見る。
   抜けるような青い空。
   どこまでも続く空。
さき「・・・飛べたらいいのにね」
なお「…!(驚いてさきを見る)」
さき「あの鳥みたいに好きなように飛び回れ
 たらいいのにね」
   空を見ると鳥が気持ちよさそうに飛ん
   でいる。
なお「…うん(つぶやき声)」
   鳥が飛ぶ空をじっと見つめる二人。
さき「(鳥を目で追いながら)ねえ、なおち
 ゃん」
なお「ん」
さき「もし飛べたら・・・どこに行きたい?」
なお「どこかな・・・」
   考えるなお。
   答えを待つさき。
なお「誰にも邪魔されずに、ただどっかに飛
 んでいきたい。自由に好きに飛んでいたい
 …!!」
さき「一緒だね…」
なお「…」
   ゆっくりとさきのほうを見るなお。
   いつものようにニコニコと微笑んでい
   るさき。
   何かを答えようとするが、ただじっと
   さきを見つめるだけで答えが出ない。
   答えをだせないままゆっくりと小道を
   歩き出すなお。
   微笑んで、後ろをちょこちょこついて
   歩いてくるさき。
   病院の方へ戻っていく二人。


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