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最後の日には、横浜の中華街や港の見える丘公園へ行きました。
噂には聞いていましたが、港にはカップルがいっぱい!!
通りがかりに見つけたモダンな建物。
「入ってみる?」
「うん」
横浜ゆかりの作家・大佛次郎(おさらぎじろう)記念館へ行ってみました。
大佛コレクションの中に、アンティークな食器や家具、
浮世絵などが沢山ありました。
お互いの好きな絵画とか音楽の趣味が似ていたので、
高校時代、よく二人でそんな話をしていました。
「あれ、好きそう!」
私は浮世絵の一つを指して言いました。
彼女は一瞥(べつ)すると、
「…あれね…。昔は好きだったけど、今はもうどうでもいい…」
「…」
完全に無気力、無関心。

夕暮れになりました。
私は、彼女の家へは戻らずに、このまま大阪へ帰るつもりです。
帰りたくない。もっと一緒にいたい。
何でこんなに離れてるんやろ…。
気軽に行くには、千葉は遠すぎます。

彼女は、東京駅まで見送りについて来てくれました。
新幹線の乗降口で、発車ギリギリまで一緒にいました。
「お願いやから、もうちょっと人間らしい生活してな」
「・・うん」
「また電話する。手紙も書くから」
「・・うん」
彼女は名残惜しそうな様子でした。
せっかく懐いてきたのに(彼女は子犬かっ)
私が帰ってしまったら、また元の木阿弥(もくあみ)になってしまうのでは…。
一瞬、不安がよぎりましたが、帰らない訳にもいかないので、
後ろ髪をひかれつつ、私は車上の人となりました。

(21)へとつづく。

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